スパダリ救急救命士は、ストーカー被害にあった雑誌記者を溺愛して離さない~必ず君を助けるから。一生守るから俺の隣にいろ~

8.いきなり同棲?

「俺も駅で待っていれば瑠花に会えると思った」
 だから犯人もそう考えるかもしれないと蓮はメモ書きした電話番号を自分のスマホと瑠花のスマホに登録しながら瑠花に仮説を話していく。

 余罪もあるはずなのにたった1ヶ月の拘留と罰金だけで釈放されるということは、事件を揉み消せる権力者が犯人の近くにいるということ。
 即日釈放されなかったので親は警察関係者ではない。
 だとすると親が政治家、または地元の有力者である可能性が高い。
 そして息子は自由に使えるお金があり、働かなくてもいい。

 おそらく女性を襲うのは暇つぶし。
 一度狙って失敗した女性に執着する可能性もある。

 ……だからわざわざ警察は連絡をしてきた。
 自分たちは動くことはできないが、できるだけ気をつけてくれと伝えてきたのだと、蓮は瑠花に話した。

 気をつけてと言われてもどうしたらいいのかわからない。
 たったあれだけの電話でこんなことまでわかってしまう蓮を不思議に思いながら、瑠花はどうしたらよいのか悩んだ。

「おばあちゃんの家に住まわせてもらおうかな」
「もし犯人が跡をつけてきたときに、おばあさんまで巻き込むからダメだ」
 あ……ここの駅を使わなければいいってことじゃないんだ……。
 自分が思っているよりも深刻な事態に、瑠花は下唇を噛んだ。

「瑠花、俺と一緒に住もう。今すぐ引っ越そう」
「えぇっ?」
「瑠花のマンションに送って行くから荷造りしてくれ」
「今から?」
「最低限の着替えと貴重品と仕事に必要なものだけでいい。残りは休みの日に俺が運ぶから」
 有無を言わせぬ勢いで蓮から今からの過ごし方を説明され、瑠花のマンションまで送られる。
 スーツケースとボストンバッグに入れられるだけ荷物を詰めることになり、蓮が来るまで絶対に外出しないように、誰かが来ても出ないように念を押された。
 すぐにどこかへ行ってしまった蓮に瑠花は戸惑う。

「……なんだか急展開すぎて……」
 暴漢犯から守るためだと思うけれど、一緒に住もうなんて……。
 いきなり同棲ってことだよね。
 瑠花は暑くなってしまった顔を両手で押さえながら一人で悶えた。
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