スパダリ救急救命士は、ストーカー被害にあった雑誌記者を溺愛して離さない~必ず君を助けるから。一生守るから俺の隣にいろ~
「しかも今日から……?」
 今日はもしかしたらお泊りするかもと期待した。

 でも、これから毎日……?
 いや、蓮は24時間勤務だから毎日じゃないけれど、でも同棲!

 私が仕事から帰ったら蓮が「おかえり」って言ってくれる日が2日に1回あるってことでしょ?
 ……心臓が飛び出るかもしれない。
 瑠花は照れながら下着や服を詰めていく。

『ここ、どう?』
 蓮から送られてきた地図は駅。この駅の近くってこと?
 家賃は高くないだろうか?
 二人でお金を出し合えば大丈夫なのかな?

『今よりも会社に近いから場所は大丈夫だけれど、家賃高くない?』
『大丈夫』
 私のこの小さなワンルームと比べるとかなり広そうだったけれど、二人だと靴や服も二倍だもんね。

 自分が考えた『二人』にまた照れてしまう。
 もともと部屋も狭く荷物も少なかったので、服はコートやセーター以外ほとんど詰めることができた。
 まだ春だし、すぐには使わないから問題ない。
 ロングブーツや、大きいクマのぬいぐるみは諦めよう。

「鍋とかは置いて行っていいんだよね。冷蔵庫の中身はどうしたらいいのかな」
 悩んでいるとちょうど蓮が迎えに来てくれる。
 ドアを開けると、なぜか蓮だけでなくお姉さんと知らない男性がいた。

「こないだはごめんね~。あ、これ私の旦那様」
「はっ、はじめまして。小川瑠花です」
「凛の夫、斉藤正臣です。よろしく。荷物はこれだけ?」
「車に乗るだけ全部詰めればいいのよ、あのクマとか」
 凛にクマを連れて行きたいことがバレてしまった瑠花は少し恥ずかしかったが、遠慮なくクマも乗せてもらうことにした。
 冷蔵庫の中の食材も保冷の買い物バッグに入るだけ入れ、諦めたブーツやコートも車に積んでもらう。
 さらに布団まで8人乗りの大きな車に入ってしまった。

「蓮も荷造りしてこい。ちゃんと連れてくから」
「すみません、義兄さん」
 車の後部座席に乗る瑠花に手を貸したあと、蓮は名残惜しそうに瑠花の手を握る。

「あ~、はいはい。1時間くらい離れるだけだから~」
 助手席に乗りながら蓮の邪魔をする姉の凛に、瑠花は思わず笑ってしまった。
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