スパダリ救急救命士は、ストーカー被害にあった雑誌記者を溺愛して離さない~必ず君を助けるから。一生守るから俺の隣にいろ~
 戻ってきた蓮はいつも通り。
 手にはメジャーとメモを持っていた。

「カーテンのサイズはこれだって」
 大きな窓と小窓のカーテンのサイズも書かれたメモを渡された瑠花は、何も気づいていないフリをすることにし、メモを見ながらカーテンのサイズを探す。

「ちょっと値段が高すぎるかな……?」
「そんなに頻繁に買うものでもないし、遮光のいいやつにしよう」
 蓮はポチッと商品を買い物カートへ。

「冷蔵庫、大きいのにする?」
「私はあれで十分だけれど」
 冷蔵庫は蓮が使っていたやつだ。

「ベッドは、密着して寝たいから買わない」
「み、密着?」
 ベッドも蓮のマンションから持ってきたもの。
 もともと身体が大きい蓮はダブルベッドを使っていたけれど、密着と言われると恥ずかしい。

「布団を持ってきたから、私は床でも……」
「床なんかで寝かせるわけないだろ」
 一緒に寝るだろ? と囁かれた瑠花は真っ赤な顔で頷くしかなかった。

「明日、姉さんが瑠花のマンションの残った荷物を片付けて退去手続きとか全部してくれるから」
「私も一緒に」
「瑠花はここから出たらダメだ」
 今日の夕方釈放された暴漢犯が明日真っ先にあの場所に向かうかもしれないと言われた瑠花は、思い出しただけで鳥肌が立った。

「明後日の朝は姉さんが会社まで送ってくれるから」
「そんなご迷惑……」
 蓮はスマホで地図を出し、瑠花に見せる。

「姉さんの弁護士事務所、瑠花の職場の近くなんだ」
 だから遠慮しないでいいと言ってくれる蓮に、瑠花はありがとうと微笑んだ。

 二人でベッドに入り、幸せな気分で眠りにつく。
 翌朝、仕事に出かける蓮を見送った瑠花はまるで新婚のような「いってらっしゃい」に心臓が飛び出しそうだった。
 平日の朝は凛に車で送ってもらい、帰りは一日おきに蓮の迎えと、蓮が仕事の日は凛の事務所へ行って一緒に帰るという過保護な状態に。

 駅も違うし、ここまでしなくても大丈夫じゃないかなと思いながら、この生活は1ヶ月続いた。
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