スパダリ救急救命士は、ストーカー被害にあった雑誌記者を溺愛して離さない~必ず君を助けるから。一生守るから俺の隣にいろ~
「全員そろったから、もう一回乾杯しよ!」
 合コンは再び仕切り直し。
 乾杯から始まり、今来たばかりの男性は芽依や後輩たちの餌食になった。

    ◇
 
「るっちゃん、来てくれてありがとね。気をつけて帰って」
「芽依ちゃんはお持ち帰り?」
「めっちゃ好みなの。あの子」
 年下好きな芽依に捕まってしまった青年は、忠犬のような可愛いタイプだった。
 ほどほどにねと笑って手を振る。

「電車?」
「あ、はい」
「じゃ、一緒に」
 やっぱり声もあの救急救命士さんに似ている気がする。
 合コンの間は会話する機会がなかった遅れてきた男性の隣を歩きながら、瑠花は男性の顔を見上げた。

 整った横顔はやっぱりあの時の人に似ている。
 背はこんなに高かったかな?
 救急車の中だったからよく覚えていないけれど。

「……っと」
 道路のわだちに足を取られガクンと身体が揺れた瑠花を、男性が支えてくれる。

「ご、ごめんなさい」
「結構飲んだ?」
「日本酒を、5杯くらい……」
 正直に答えた瑠花を笑いながら、男性は瑠花を支えたまま歩き出した。
 どうしよう。
 いい匂いがする。
 男の人がいい匂いって、私って変態かな。
 腕もたくましくて、密着した身体が恥ずかしい。

「俺は三条蓮。消防署勤務だ」
「もしかして救急救命士さんですか?」
「あれ? 言ったっけ……?」
 瑠花は2ヶ月くらい前に祖母が救急車で運ばれたことを話した。
 意識がない祖母に救命処置をしてくれたおかげで一命を取りとめ、今ではすっかり元気だと話すと、蓮は小さな声で「覚えていてくれたのか」と口角を上げる。

「ありがとうございました。あの時、お礼も言えなくてごめんなさい」
「家族の命がかかっているのに、お礼を言う余裕のある人なんていないさ」
 無事でよかったと微笑んでくれた蓮に、瑠花も微笑み返した。
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