スパダリ救急救命士は、ストーカー被害にあった雑誌記者を溺愛して離さない~必ず君を助けるから。一生守るから俺の隣にいろ~
 瑠花はソファーへ横になった。
 時計はもう深夜の2時半。
 普段ならもう爆睡している時間だけれど、今日は目が覚めてしまって眠れそうにない。

 目を閉じると、声をかけてきた男のことを思い出してしまう。
 逃げようとしたのに逃げられなくて、捕まって叩かれそうになった。
 もし蓮が来てくれなかったら、あのあとどうなっていたのだろうと考えるだけで身体の震えが止まらない。

 シャワーの音が止まり、ドライヤーの音に変わる。
 早く眠らないと蓮が戻って来てしまう。
 早く寝ないと。
 そう思うとますます眠れない。
 結局、瑠花は眠ることができなかった。

「……ベッドで寝ろって言ったのに」
 肩をすくめながらソファーに近づいた蓮は、小さく震える瑠花に気がつき、目を見開いた。

 蓮は何も言わずに瑠花を抱き上げ、ベッドへ。
 そしてなぜか蓮まで横になると、ベッドの上で腕枕をしながら瑠花を抱き寄せた。

「れ、れ、蓮さんっ?」
「何もしない」
 子供をあやすように背中をポンポンと優しく叩いてくれる蓮のたくましい胸に瑠花は真っ赤な顔を埋める。
 こんな態勢で眠れないよ!
 さっきまでの恐怖が嘘のように消え、今はドキドキが止まらない。

「守るから安心して眠れ」
 本当に守ってくれたんだよね。
 あんなに簡単に捕まえちゃうなんて。
 腕も筋肉がすごくてたくましいし、胸板も厚いし、腹筋も割れていそう……。

 って、何考えてるの、私!
 恥ずかしい妄想を止められないまま、深夜3時を過ぎた頃、瑠花はようやく眠りに落ちた。
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