転校したらヤンキーに愛されまくった件
「まさか俺の言うことが聞けねーのか?まだ鳳仙の総代は俺だぞ?」


圭哉さんはなんだか楽しそうだった。


「もしかして、付き合ってるってのはウソだったかな……?」


マズイ、かなり怪しまれてる。
言われた通りにしなきゃだけど、キスなんて冗談じゃない!
こんなに大勢に見られてる中で、キスしたフリじゃ通用しないし、どうしよう……!


——バサッ


私がごちゃごちゃ考えていると、川上が自分のブレザーを脱いで私の頭の上からかけた。


「(小声)まさか本気でするつもりじゃないよね⁉︎」


「(小声)大丈夫、俺に任せろ」


そう言って川上は慣れた手つきで私の後頭部を引き寄せて、お互いの唇が触れそうになる寸前で止めた。
みんなの方からは私たちがキスをしているように見えているらしい。
ただ1人を除いては……


「おーい大我。それじゃあホントにしてんのかわかんねーじゃん」


みんなが盛り上がっている中、圭哉さんだけは騙せなかった。
でも川上は動じない。


「見せるわけねーだろ。俺だけの特権だ」


後ろから抱きしめられた私は川上の腕の中にすっぽり収まる。
演技だって分かってるのに、恥ずかしくて顔がどんどん熱くなるのが分かる。


さすがの圭哉さんもそれ以上は何も言わず。
こうして私は鳳仙総代の嫁になってしまった。
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