転校したらヤンキーに愛されまくった件
大我は色んなパターンを想定して教えてくれた。
だけどどれも相手から逃れる手段や守備ばかり。
殴ったり蹴ったり、肝心の喧嘩のやり方は教えてくれなかった。


「ねぇ、守りだけじゃなくてさ。次は攻撃も教えてよ!パワーはないけど、スピードは結構あると思うよ。見てて!」


私は拳をギュッと握り、ありったけのパワーとスピードを乗せて大我に向かってパンチをして見せた。
でも私のパンチはあっさりと大我の手のひらで止められる。
片手であっさりと、すっぽりと包まれた。


「何があっても一花にこの拳は使わせねぇ。そのために俺がそばにいんだよ」


何それ……
いつも俺様で乱暴なくせに、そんなこと言われたら調子狂うじゃんバカ。


「なんかかっこいいじゃ〜ん。大我、総代っぽいよ!」


「ぽいじゃなくてほんとに総代な!」


私は額に軽くデコピンされた。
ごめんごめんと笑ってごまかしたけど、本当は信じられないくらいドキドキしていて、私の心臓はどうにかなりそうだった。
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