転校したらヤンキーに愛されまくった件

キャンディー

「こうきたら、こうやって、最後はこう!」


私は大我に教えてもらったことを1人でも復習していた。
すると教室の扉が開いて、粕谷くんが入ってきた。


「バカでしょ。なんでそんな頑張ってるわけ?」


「んー……総代の嫁になる時にね、ハンパはしないって決めたから」


「マジで理解できない……アンタが大我に協力する義理なんかねーじゃん。それとも本気で好きになったわけ?」


「自分でもよく分かんないの。でもなんかアイツのことほっとけないんだよね」


「……姉貴も同じこと言ってた」


「お姉さん……?」


粕谷くんには双子のお姉さんがいるらしい。
中学に入ってグレた粕谷くんを心配して、自分もヤンキーグループに入ってしまうほどパワフルな人だ。
今も別の学校で男子にまざって喧嘩の毎日だという。


「大して強くねーくせに、姉貴ヅラしてしゃしゃりでて。そのせいでもう後戻りできなくなった。俺なんかに構わなきゃ普通のJKになれてたのに」


粕谷くんは自分のせいでお姉さんがヤンキーの世界に関わってしまったと後悔して、責任を感じてる。
きっとそんなことはないなずなのに。


「お姉さん、強くて優しい人なんだね」


「あの時誰かが反対してくれてれば、姉貴は関わらずに済んだ。誰かが姉貴を止めてくれてれば……」


「だから私のこと認めないって言ってくれたんだ……?」


「は?勘違いすんな!俺は本当にアンタが嫁に相応しくないと思っただけ」


「フフッ。はいはい」


感じ悪い人かと思ったけど、粕谷くんも普通にいい人じゃん。
私が笑ったら、粕谷くんはギロリと睨んできた。
私は粕谷くんがよく食べている棒付きキャンディーを差し出した。


「これで機嫌直してよ」


「だから、物で釣ろうとか思考が安直すぎ」


「やっぱダメか〜」
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