転校したらヤンキーに愛されまくった件
「ほら、行くぞ」


「行くってどこに⁉︎」


「決まってんだろ。総代に紹介する。俺の女だって」


「私OKしてないし!はーなーしてーっ!」


掴まれた手をふりほどこうにも、私なんかの力じゃびくともしない。


「なんでもやりますっつったよな?」


「それはっ……そもそも、私に今彼氏がいるかもしれないのにいきなりそんなこと言われても困るから!」


「へぇ。いんのか?そのカレシとやらは」


「い、今はいないけど……今は!でもこれからできる予定だから!」


あぁ、ここで彼氏がいると言えない自分が情けない……
なんで私、非リア宣言させられてるんだろう。


「フッ。できてから言えよ。じゃあ問題ねーな」


ムッカーーー!
ムカつくけど、その通りなのが悔しい。
私と川上は睨み合う。


「まぁまぁ。転校初日にいきなりそんなこと言われて一花ちゃんもビックリするよ。まずはお互いのことをよく知らないと。今度2人でデートでもしてさ」


「「はぁ⁉︎/はい⁉︎」」


いやいや。
フォローしてくれるのかと思ったら全然フォローになってないし!


「なんだ。もう2人とも息ピッタリじゃん」


「「ピッタリじゃねぇ!/ピッタリじゃない!」」


私たちは「フン」と顔を逸らす。


「そもそも、なんで私なの?」


「……別に。教室入ったらたまたま女がいたから」


女だったら誰でも良かったらしい。
そこは嘘でも「タイプだったから」とか言うんじゃないの?
素直すぎるでしょこの人!
嘘つけない、お世辞とか言えないタイプか。
どんだけ不器用なのこの人!


「私は無理だから!他を当たって!」


私は走って教室を飛び出した。
今までパパとママに散々振り回されてきたと思ってたけど、まさか2人を超える人がいるなんて。
あの男——川上大我はどうかしてる!
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