うちのペットのマルとモカ
ひなたの帰りが遅かったので、マルとモカ大いに心配していた。
夜の10時過ぎ、ひなたがへとへとになって玄関ドアを開けると、マルが怖い顔をして立っていた。
「どこ行ってたんだよ。こんな時間まで。」
開口一番そう言ってから、マルはひなたを抱きしめた。
モカがやって来て、二人を引き剥がしてから、モカはひなたの頬を抓った。
「ムカつく。爪が無いのが。」
モカが力を入れて抓ったので、ひなたは涙をポロポロ零した。
「心配されるの、凄く嬉しい」
ひなたが言った。
「バカなんだから。あ、そうだ、モカ。あれ持って来てよ。」
「ああ、あれ?」
マルに言われてひなたから手を離したモカが立ち上がると、玄関の方へ向かった。
「あれって?」
「良いから。」
マルは応えてくれず、ひなたは?と思った。
「これ。」
モカが持ってきたのは首輪だった。
「何……?」
「はい、これで。」
モカはひなたの首に手を回すと、カチャリ、と首輪を嵌めた。
マルがひなたを自分の方に向かせた。
「お前は僕のペットだ。」
「!」
「言う事聞かなくてもご飯はあげるけど、」
マルが言葉を切った。
「心配させたら許さないから。」
「主客転倒。僕まだ爪あるからね。」
びっくりしているひなたを、モカが脅した。