運命かもしれない。

1:運命かもしれない。

隣の席の加藤藍くん。目元まで伸びた黒髪にメガネ、校則に従った制服の着こなし。目は細めで八重歯あり。性格はクールで口数は少なく、勉強もスポーツもできる。


「あー、、、正直、、、どタイプすぎてやべえ」

「いや話長いな」

「あ、全部声に出ちゃってた」


私は友達のさっちゃんこと皐月とお昼を食べていた。


「あんた、その何でもかんでも言う癖、なんとかしなさいよ」

「別にいつもってわけじゃないもん!」


さっちゃんは生徒会にも入っているくらい頼もしくて、私の自慢の親友だ。
たまに今みたいに小言も言ってくるけど、それも結構気に入っている。やめて欲しいけど。


「そんな言うなら、いっそのこと話しかければいいじゃない」

「それができたら苦労しないって〜」

「森谷さん」

「、、、ひェ」


加藤くんが声をかけてきた。まさか、告白!?


「先生から。日直だからこの教材運んどいて、だって」

「、、、うっす、了解でーす」


机に社会の教材がどかっと置かれる。
てかこれ加藤くんに運んで貰えば、、、ううん!加藤くんの手をわずらわせたらダメだ!
私は敬礼ポーズで了承した。


目の前のさっちゃんが、彼氏を見つけた時のオカンみたいな表情をしているが、とりあえず仕事を片付けよう。


「さっちゃん、ちょっと行ってきまーす」

「りょ」







「うっわー、思ったより重いじゃん」


社会科教材室までの道のりを歩きながら、ポツリと呟く。


私には最近、ある悩みがある。それは___


「あの、手伝うよ」


そう言って軽々と荷物を持ったのは、紛れもない加藤くんだった。


「えっ!いいよ、重いでしょ?」

「大丈夫だよ。それに、人に仕事なすりつけて帰るのも悪いし」


そんな、やってって言ったのは先生なんだし。でも、、、


「、、、ありがと。じゃあ、お願い、しちゃおっかな」


私の悩みとはズバリこれだ。その名も『加藤くんが運命の人感をかもし出してくる件』!


異様にタイプにハマりすぎるとことか、こうやって気にかけてくれるとことか、無口なのに私にはよく話してくれるとことか、そもそも隣の席のだったりとか、、、。


「俺が片付けてるから、先に帰ってて」

「いや!悪いよー。私も一緒に行く」


この機会を逃してたまるか。私は加藤くんの背中について行った。


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