花系男子はアナタっ子
*花系男子と夏休み 前編*

引き継がれる特徴



照り付ける太陽に汗を滲ませ、蝉の声が所々から聞こえてくる夏を向かえ、夏休みとなった──わけだけど。

おかしい気がする。


「……なんか少し前から、双子の様子が気になってたんだけど?何かあるの?」

お気に入りだという私のベッドに制服半袖スタイルで寝転ぶ双子を目に、椅子に座り雑誌を捲る蒼葉くんにこそっと聞いてみた。

蒼葉くんは捲る手を止め、双子に目をやると、少し神妙な顔つきになる。

「アルストロメリアの花は、暑さにも寒さにも強くない。だからだろ。いつもの小悪魔な意地の悪さを微塵も感じねぇのは」

「……誰が意地悪いって」

「小悪魔って僕たちのこと?」

「お前らしか居ねぇだろ。現にお前らの花言葉に小悪魔ってあるんだからな」


眉間にシワを寄せながら、双子は蒼葉くんに返す。でも確かに覇気がない。

これは何か対策を考えないと。
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