「側についていて」
五限目を半分過ぎた辺りで、俺は教師から直々に保健室で爆睡しても良いと言う、大変にありがたいご指導を賜った。
とは言え、保健室だと養護教諭が在中しているだろうし、他に休んでいる生徒だっているかもしれない。
独り言をブツブツ口にしていても誰からも頭の病院を勧められることなく、抱えている問題を解決出来そうな場所へと向かう。
ありきたりだけれど、屋上が好都合だと思い、校舎の三階まで行くと、中間辺りに見えて来る細い階段の通路へと入り込む。
なるべく足音を立てないようにして狭い踊り場へ出ると、鍵の壊れている鉄で出来た重たいドアを開ける。
この間、声の主は何も話しかけて来なかったので、本当にただ夢を見ていただけなのかもしれない、と思い、そんなに広くもない屋上の出入り口がくっついている小さな箱のような四角形のうちの壁一枚に背を預けた。