秋に吐く息

 、シャツをはだけてキャミソールの裾をつかんでパタパタやると、ツルリとフリスクが滑り落ちてくる。
 カショカショと振ってから、二粒だけ取り出して舌に押し付けるようにして置いた。

 ー ピリピリしない、刺激的じゃない、私の汗腺が皮膚を突き破らない。

 ナニコレ、美味しくない。
 つまんない。
 痛くないもので糖分を摂取するだなんて。
 そんなのはお断り!!
 太るなら好きなものを食べて太りたいの私は。

「からいやつがいいよ~。これ、甘いやつだよね?いらない、捨てる、キライ」
「機嫌悪いな、ミサ。やっさんにもフラれたの?」
「じゃんじゃんじゃーん!蹴るぞ!」

 爛れ果てた幾つもの恋のそれぞれを、きちんとしっかりスケジュール通りマメにこなす年齢不詳の色ボケ店主は、数十分前にここへやって来た私に店番を任せると、鼻歌交じりに身だしなみを整えて、E子とのランチへ出かけて行った。
 ん?G子だったっけ?

 いい、いい、B子もF子もS子もG子も、みんなきっとやっさんに愛されてるんだから。
 それに、その店主、やっさんは、もれなく当然のように私のことも愛してる。
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