「私は、武器」
まだ自力で動くことすら出来ない私の存在に気が付いて、拾い、育ててくれたのは、同じように孤児であった少年だ。
その頃の彼はまだ幼かったけれど、私を生かすことを心の支えにしているような節があった。
私に食べる物や着るものを用意する為ならば、自分の命さえ粗末に扱うことも厭わないような、無鉄砲で心配なところのある少年に、4つになった時に私はこう言った。
「私のことを大切にするのと同じように、自分のことも大切にして欲しいです。それが、私の誕生日のお願いです」
彼ははじめて会った時から喉を負傷していて口を利くことは出来なかったけれど、困ったように眉根を寄せて、それでも口角を上げ、目を細めると恭しく私の手を取り、胸にあてると頷いてくれた。
そんな彼からの言いつけは、この小屋から絶対に外には出ないことだった。