人食い寺と新聞部
☆☆☆

新井皐月のボイスレコーダーより


「ねぇ、大丈夫?」

え、あ、緒方先輩。
昨日はあのふたりを紹介してもらって、ありがとうございました。

「いいのいいの。それより、さっきの見てたけど今日は取材を断られたの?」

……はい。

「そっかぁ。あのふたりからしてもキツイ出来事だったから、あまり思い出したくないのかも」

確かに、友達がいなくなって今も見つかってないっていうのは、キツイことだと思います。
今日の取材は諦めようと思います。

「あ、ちょっと待って! それで思ったんだけど、春華ちゃんの幼馴染を紹介しようか?」

え?

「なんかさぁ。私も春華ちゃんの行方不明事件ってしっくりきてなくて。みんな憶測で悪い噂ばっかり立ててさ、気分悪いんだよね。だから協力したいの」

あ、ありがとうございます!
もう打つ手がないと思ってたから、嬉しいです!

「あはは、そんなに喜んでもらえるとは思ってなかった。
でも、打つ手がないってことは取材難航中?」

はい。
正直どうすればいいかわからなくなってたところです。


「そっか。それなら余計に協力しなきゃね」

ありがとうございます!


「ううん。私にできることなんてこれくらいだし。春華ちゃんの幼馴染は隣のクラスの子なの。こっち来て」
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