ドSなあなたへ、仰せのままに。
もしかして、少し淡い期待を含んだ手が、スカートのポケットに入れているスマホを取り出す。
「……来てない、か……」
昼休みが始まって、20分が経った。いつもなら、3分遅れるだけで
《おい》
《遅い》
《お前なにやってんの》
と、鬼のような3連発のメッセージが飛んでくるのだけど……。
やっぱり、今日はない。
ーーって、なんでこんなにパシリにされないことに沈んでるの?私!
ふと我に帰った自分の頬をベチンと軽く叩く。
そうだよ、パシリにされないって幸せじゃん。こき使われることも、雑用も無くなったし。
バカにされることも、笑われることもない。
どこに悲しむ要素があるの。
……まあ、酷いことは言っちゃったけど。
私は、メロンパンの最後の一欠片をお腹いっぱいながらも強引に口に押し込むと、スマホを再びポケットの中に戻した。
帰ったら、謝ろう……。