元姫様はご臨終
 今まで積み上げてきた何かが、崩れ落ちる音がした。

それと共に糸がプツンっと切れる、小さな音もした。

 窓の外に見える、夜光に輝く桜吹雪が煩わしい。


 なぜだ。何故こんな事になった。

彼女は悪だ。明らかに私が正しいはず。

なのに、何故誰も私を信じない。

サクラよりも長く居たのは私の方なのに。私の方が皆から愛されているのに。

 なのに、なんでよ、、、


 ヤユだって、思うことがあるならば口に出せばいい。

なのになぜ悲しそうに床の木目を見つめるだけで、何も言いださないのだ。

もう一度口を開いて、私を導いてくれよ。この状況を打開して見せてよ。

おかしい。こんなの正常じゃない。

今まで築いた信頼は、何処に行った?


 全てに困惑し、全てに悲しみ、全てに恨みたくなる。

ユウヒ、ミヤビ、ヤユ、ヨウ、サクラ。

この5人に対し、信じきれないほどの憎悪が渦巻く。

心を黒い波が覆い尽くしてしまいそうだ。


 なぜ私を信じなかった。そんな胡散臭い小娘を信じた。

私が正しい筈なのに、なぜ誰も彼もが彼女の用意したシナリオに踊らされているのだ。

 私を苦しませたのは、サクラだけでない。

他の皆も共犯で、私のプライドと良心を打ち砕いた。

だから、皆に不幸になって欲しい、、、
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