元姫様はご臨終
 人は裏切られると、復讐という概念が生まれるらしい。

それを知ったのは今日が初めてで、それを教えてくれたのは私の中の悪魔だ。

道徳心とは掛け離れた、同情も情けもない出来心。

 全ての人が持っている、貪欲な悪意。

それを彼ら4人に向けるのは、初めてかもしれない。

私の屈辱や苦しみ、その他数えきれないを邪心を、彼らに移してやる。


 存分に苦しめ。存分に泣き叫べ。

皆サクラと同じ位に甚振ってやる。私の不幸という不幸を思い知れ。

焼死よりも苦しくおぞましい、最高の溺死を体験させてやろう。

 後悔と自己嫌悪が取り巻く深海に溺れ、醜い踊りのように足掻けば良い。


 私の足元から、そんな悪魔がこちらを覗いていた。

私の心を蝕みに来た、ドス黒い感情の妖精さん。

弱っている心に漬け込む、巨悪の根源。

 そんな悪魔に、弱っていた私は付け込まれたのかもしれない。

だからこんな一言が頭に浮かび、離れなくなったのだろう。

  『復讐してやる』
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