女帝は道化師に愛される
 『嶺春(れいしゅん)

それが私が所属する、暴走族の名前。

頂点に立つという意味合いらしく、とてもこの集団に似合っている。

そんな飾ったようで派手すぎないこの名前が、私は大好きだ。


 ただ、私は戦闘員としてこの組織に所属しているのではない。

本当のところは、私も彼らのように傍若無人に暴れる事ができる。

しかしそれを隠し、一人の高校生としてか弱い少女を演じている。

そのため私は総長の彼女、通称:姫という立ち位置にいる。

 総長の名は優日(ゆうひ)といい、私の愛しい彼氏だ。

その他にも副総長が一人、幹部が二人と、、、姫がもう一人。


 そのもう一人の姫というのが、目の前で泣き叫ぶ少女、(サクラ)

端整な童顔に、染めたであろう桜色のふわふわな髪。

身長は中学一年生のように低く、言動も相まって本物の中学生のよう。

 咲かせる笑顔は太陽のように眩しく、憎らしいほどに愛らしい。

 前世はお菓子の国のお姫様だったと言われても、私は驚かない。

それ程に、彼女は可愛らしく純粋なもう一人のお姫様だった。
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