元姫様はご臨終
 「それじゃあ、私はこれで、、、」
 
 引き気味に別れを告げようとしたが、ガシッと無理矢理手を掴まれてしまった。

ナンパだろうか。どれだけの美形を持っていようが、お断りだ。

フードに隠れた瞳で、彼を軽蔑するように軽く睨む。

しかし、男は御構い無しに意気揚々とこう言った。


 「これも何かの縁だ。丁度君のような人を探してたから、協力してくれない?」

 「援交はお断りですが」

 「違うよ!僕は君のお手伝いをしてあげようと思ったんだ。」

 「、、、」

 「なんか奢るよ。金はある」

 「信頼は?」

 「人脈なら」

 胡散臭い大げさなリアクションを取り、道化を演じる男。

しかし私を見透かす瞳は本物で、心の悪意を覗かれているような気がした。

多分、この男には裏がある。

 でもお互い利用し合えば、良い関係になれるのではないだろうか。

ちょうど私には人手が必要だった。この男ならば、、、


 彼を値踏み、価値を認める。

 「、、、話だけなら聞いたげる。因みに私は一銭も出さないから」

 そう答えた時点で、私の計画は形を成していた。
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