女帝は道化師に愛される
 「、、、なに?」

 「フード取らないのかな〜、って」

 「あっそ。というか、何を話したいの?」

 「話を切り出す前に、君を眺めていたいんだ。とても魅力的だからね」

 褒め上手な彼に、社交辞令として「どうも」とだけ小さく返す。

しかし、彼の目は笑ってなどいない。へつらった笑顔は、商人の顔だ。

 交渉内容を聞き出すまで、個人情報を控えめにしか出さない。

私に利益がないならば、コイツは用無しだ。

だから、顔も晒さない。事情も晒さない。手の内も明かさない。


 小皿に入れられていく肉を噛み千切りながら、ヤナギを隅々まで観察する。

彼が手首に巻いている腕時計は、数十万はするお高い外国製の物。

薄い唇から覗く歯は整っており、綺麗に保たれていることから生活習慣が良いとみれる。

 装飾品は値の張る物ばかり。服だって、相当上等な物と見れる。

多分、資産家なのだろう。隅々に気品さを感じる為、生まれも良いとみれる。銀の匙を咥えて産まれたのか。


 「、、、僕の計画を話そう」

 「どうぞ」
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