女帝は道化師に愛される
 「ここは60階建のオフィスビルで、まだ新築の方かな。僕の知り合いの資産だから、ここの最上階を格安で買い取らせて貰ったんだ」

 「最上階っ!?あんた、どんだけ金あるの、、、?」

 「さあねぇ。知らない方が良い事も世の中にはあるんだよ」

 最上階というワードに、思わず聞き返す声が上ずってしまう。

都内の高層ビルの最上階なんて、一流企業でないと買い取れやしない。

いくら安くして貰ったとは言え、目玉が飛び出すほどの金額だろう。


 この男は見た目からも相当の資産家だとは感づいていたが、ここまでとは、、、

彼はとんでもない金持ちなのだと気がつき、少し引いてしまう。

その恐ろしく綺麗な容姿に加え、異次元の大金持ちだったとは、、、

 モテる要素がてんこ盛りだが、度が過ぎすぎて逆に近寄りがたい人間。

それがヤナギという男だと気がつき、恐れが湧き出てくる。


 やはり、程々が丁度良いモテ具合なのだろうか、、、

ヤナギの生態にビビッている間にも、彼はスタスタと内部に足を踏み入れていた。

そこで意識が現実に向き、ヤナギを追いかける形で中に入っていった。
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