女帝は道化師に愛される

敗者を見下し嘲笑う

 「ユリ〜、眠いから僕リタイア〜」

 「か弱い私一人で戦わせるなんて。私は可愛い可愛い乙女なのに」

 「総長に言われても説得力皆無だけど、、、」

 ボロいガレージの前で、軽口を叩き合う。

目の前に佇むのは、暴走族『翠神(すいじん)』の倉庫。

そこそこ強いと言われている、名の通った暴走族だ。

 
 薄い壁からは中の喧騒が小さく漏れ出しており、賑やかだという事が察せる。

彼らは、今目の前に敵がいるとは思いもしていないのだろう。

能天気な奴らだ。実験台には丁度良い。


 「ヤナギ、足引っ張らないでね」

 「僕も強いんだよ!?こう見えて!」

 二人の会話が夜空に沈む中、倉庫の扉を足で重いっきり蹴破る。

ガンッという音が鳴り響き、中にいた連中が目を見張ってこちらを見つめていた。

 それを確認し、声を張り上げ自己紹介をする。

 「私はユリ。誇り高き麓冬(ろくとう)の総長」
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