女帝は道化師に愛される
 「まあ、こいつは悪い奴じゃないから安心して。ユリ」

 「今のところ安心できなさそう」

 「なんでですか!?俺は総長さんに尽くすつもりなのに!」

 「もう僕が尽くしちゃってるから、カヤの分はないよ」

 「ヤナギさんには言ってないので黙っていてください」

 よくわからないが戦力が大幅に伸び、静かだった倉庫が一気に煩くなるということは理解できた。

ヤナギとは相性が良いようだ。下手したら事故物件になるかもだが。


 騒ぐ二人がどこか親しそうで、カヤと名乗る男に嫉妬する。

昨日までは私がヤナギと仲が良かったのに。急に私を置いてけぼりにするなんて。

友達の友達に対するよくある嫉妬心と近寄りがたさが混じる。

 とりあえず、この計画は着実に進んでいる。

だから、心配することはない。

サクラの出方次第で私は死ぬが、多分大丈夫だ。

だって、私の方が強いから。
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