女帝は道化師に愛される
 「今度二人で遊びに行きましょう!」

 3人でヤナギが買ってきたシュークリームを食べていた時、突然カヤがそんな提案をしだした。

 少しずつ夏が広がりだした6月の中旬。

今は倉庫でクッションの上に座り、三角形の様な形でおやつを食べていた。

 なのにも関わらず、全く平和じゃない空気が流れ始めた。

頭を横に動かしカヤを確認すると、予想通り期待と熱意のこもった視線を私に向けていた。


 3人で不良の巣窟に乗り込むことなどはあっても、純粋に遊びにいくという話は初めてだ。

しかし、彼の発言には明らかに特定の人物へ向けた棘が含まれている。

カヤが言う二人とは、おそらく私とカヤの二人だろう。

そこには仲間であるはずのヤナギが入っておらず、当然の様にヤナギの反感を買う。

 「カヤ、死にたいの?僕が喜んで(なぶ)り殺してあげる。」

 「ヤナギさんには関係ないでしょう?呼んでませんし」

 「僕はユリの側近だから、僕の許しを得ないとユリと二人っきりはダメ」
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