波間に揺れる白い星




「なんでって……ただ遠いところにあるから、じゃない?」


「うん、そうだね。でも、私はね、あの星たちは近づきすぎたら壊れちゃうから、わざと遠くにいるんだと思うの。」


「壊れちゃう……?」


美咲は小さく頷いた。


「うん。例えば、私たちが何か大切なものを持っているとするでしょ。でも、それを近くに置きすぎると壊しちゃうことってない?」


恭介はその言葉に少し戸惑った。


「……美咲ちゃんって、なんか難しいこと考えるんだな。」


「そっか。変なこと言っちゃったね。」


「いや、そんなことないよ。ただ……美咲ちゃんの言うことって、なんとなくわかる気がする。」


「そう?」


美咲が振り返り、目が合う。その瞳はまるで星空の一部のように透き通っていた。恭介は言葉を失い、ただ頷くだけだった。




< 10 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop