波間に揺れる白い星
忘れられない時間
美咲との夜の会話から数日が経った。
恭介は彼女の言葉が頭から離れず、どうすれば美咲の力になれるのかを考えていた。
美咲が庭の奥でしゃがみ込んでいるのが見えた。
彼女の視線は小さな花に向けられていて、その真剣な様子に恭介は思わず声をかけた。
「何してるの?」
「……見て、ここ。」
美咲が指差したのは、小さな紫色の花だった。
まるで風に負けそうなほど細い茎の先に、小さな花びらが揺れている。
「これ、ハマナデシコって言うんだよ。可愛くない?」
「ハマ……何だっけ?」
「ハマナデシコ。」
恭介が聞き返すと、美咲は小さく笑った。