波間に揺れる白い星





「でも……ずっとここにはいられないんだよね。」


「それ、どういう意味?」


美咲は少し迷ったように俯き、ぽつりと呟いた。


「……もうすぐ、ここを出て行くことになるかもしれないの。」


その言葉に、恭介は驚いて彼女を見た。


「出て行くって……どこに?」


「次の場所。まだはっきり決まってないけど、また新しいところに行かなきゃいけないの。」


「なんで……?」


「……私には、本当の家がないから。」



美咲の声は静かだったが、その言葉には重みがあった。







< 38 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop