波間に揺れる白い星
別れの予感
その日、夕方になって美咲が恭介を誘ったのは、村の高台にある展望台だった。
「夕陽、きっとすごく綺麗だから、見に行こう。」
美咲の声は明るかったが、その表情にはどこか寂しさが滲んでいた。
展望台に着くと、二人の目の前には広大な海と空が広がり、沈みゆく夕陽が空と海を鮮やかなオレンジ色に染め上げていた。
「……綺麗だな。」
恭介がそう呟くと、美咲は横で小さく頷いた。
「うん……本当に綺麗だね。」
少しの沈黙が流れる。
二人とも言葉を選ぶように、口を開けないでいた。