波間に揺れる白い星

別れの予感










その日、夕方になって美咲が恭介を誘ったのは、村の高台にある展望台だった。




「夕陽、きっとすごく綺麗だから、見に行こう。」




美咲の声は明るかったが、その表情にはどこか寂しさが滲んでいた。




展望台に着くと、二人の目の前には広大な海と空が広がり、沈みゆく夕陽が空と海を鮮やかなオレンジ色に染め上げていた。




「……綺麗だな。」




恭介がそう呟くと、美咲は横で小さく頷いた。



「うん……本当に綺麗だね。」



少しの沈黙が流れる。


二人とも言葉を選ぶように、口を開けないでいた。













< 57 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop