波間に揺れる白い星
その日の午後、恭介は美咲に誘われて庭の掃除をすることになった。
南国特有の大きな葉を持つ植物が風に揺れ、沖縄らしい空気を感じさせている。
「恭介くん、このホウキ使ってね。」
「ありがとう。でも、庭の掃除ってけっこう大変そうだね。」
「そうでもないよ。ここの庭は好きだから、掃除するのも楽しいの。」
「好きって……庭の何が?」
恭介が少し不思議そうに尋ねると、美咲はホウキを止めて、小さな花が咲いている場所を指差した。
「この花、可愛くない?」
恭介はしゃがみ込んでその花を見た。
それは紫色の小さな花で、よく見ると細い茎の先に何輪もついていた。
「確かに、綺麗だね。でも、すごく小さいな。」
うん。すごく小さいけど、ちゃんと咲いてるのがすごいと思わない?」