波間に揺れる白い星
「これからは、もう離れないでいたいな。」
恭介がそう言うと、美咲は小さく頷いた。
「……私も、そう思う。」
波打ち際を歩く二人は、手を繋いだまましばらく無言だった。
それでも、胸の中には溢れそうなほどの言葉があった。
美咲がふと顔を上げ、恭介を見つめた。
「……ねえ、恭介くん。」
「うん?」
「私、ずっと不安だったんだ。もう一生、恭介くんには会えないんじゃないかって。」
「……美咲ちゃん。」
「でも、今こうして一緒にいられると、不安だった時間も全部報われた気がする。」
恭介は彼女の言葉を聞き、ぎゅっと手を握りしめた。
「俺も同じだよ。東京に戻った後、すごく忙しくて目の前のことに必死だったけど……心のどこかで、いつも美咲ちゃんのことを考えてた。」
「……本当に?」
「本当だよ。ペンダントを見てると、不思議と元気が出るんだ。『また絶対会える』って信じてたから、どんなに辛いことがあっても乗り越えられた。」
恭介の言葉に、美咲は涙を堪えるように目を伏せた。
「私も……貝殻を見て、何度も励まされたよ。これを一緒に見つけた時のこと、よく覚えてるから。」
美咲はポケットから、小さな紫色の貝殻を取り出した。
波に削られて滑らかになったその形は、まるであの日の記憶そのもののようだった。