白波銀行おひとりさま女子事情

「では、お預かりします」

「ああ。清水さんによろしく伝えておいて」

「かしこまりました。本日は御来店ありがとうございました」

その後も、アポなしで来店されたお客様の対応や商品提案記録の作成などに追われてあっというまにお昼休みになった。

「山崎さんって今何年目だっけ?」

昼休み、食堂でお昼ご飯を食べていたら、営業担当の砂川さんに訊かれた。

「七年目です」

「七年目ってことは、今いくつ?」

「今日で二十九になりました」

あえて “今日で” という言い方をしたのは、やっぱり心のどこかで誰かに「おめでとう」と言われたかったからかもしれない。

「え、今日誕生日なんだ!? おめでとう」

案の定、砂川さんはその言葉で今日が私の誕生日だと気づいて予想通りの言葉を返してくれた。

「ありがとうございます」

「二十九って、節目だよね。山崎さんは結婚とか考えてる?」

やっぱり来たか、この質問。
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