白波銀行おひとりさま女子事情

「イタ!違うよ、その逆で褒めてあげてたんだよ!」

「ホントかよ」

「ホントですよ。優しくていつも相談に乗ってくれるって」

私がそう言うと、清水さんは「ほらね」と得意気な笑顔になった。

「私が漣と続いてるのは舵原のおかげでもあるって話してたの」

「あっそう」

「まだ疑ってるの?」

「……いや。もうわかったからいいよ」

どうやら悪口を言ってたわけじゃないのは信じてもらえたみたい。

それからまたみんなで飲みながら雑談をして、二十一時を回ったところでお決まりの締めをして、今日の飲み会はお開きになった。

「お疲れ様です」

駅のホームで同じ方面の人同士に分かれてそれぞれ電車に乗る。

私は舵原さんとふたりで同じ電車になった。

「水野さん、地元はどこ?」

「花井沢です」

「そうなんだ。僕は西ヶ丘だから、地元結構近いんだね」

「そうですね」

西ヶ丘は、花井沢と同じ沿線の駅。

駅数で五駅、時間にすると約十五分の東京寄りの駅だ。
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