白波銀行おひとりさま女子事情

157センチというほぼ日本人女子の平均身長である私だけど、運悪く周りを男性に囲まれてしまってちょっと息苦しい。

「…きゃっ」

「危ない」

突然電車が大きく揺れて思わずよろけてしまったところを、とっさに目の前にいた舵原さんが支えてくれた。

一瞬感じた、舵原さんの温もりと爽やかな香り。

「やっぱ大丈夫じゃなさそうだな」

顔を上げると、目の前で舵原さんが笑っていて。

その近さに、また鼓動が速くなる。

「勉強会、どうだった?」

さっきとは違う息苦しさに戸惑っていると、舵原さんが話しかけてくれた。

「エリア長に、この調子で頑張ってほしいって誉めてもらいました。ありがとうございました」

「そっか。それなら良かった。濱野エリア長は数字さえ良ければ機嫌がいい人だからね」

「そうですよね。清水さんは褒められても全然嬉しくないって言ってましたけど」

「あいつらしいな」

そう言った声が、瞳がとても優しくて。

時々なんとなく思っていた“もしかしたら” が、確信に変わり始めた。
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