白波銀行おひとりさま女子事情
ホントにこれ以上突っ込むのは勘弁してほしいよ。
と思ったその時、テーブルに置いてある清水さんのスマホが震えた。
「あ、清水さんのスマホに着信きてるみたいですよ!」
すかさずそう言うと、
「漣からかな!?」
清水さんは途端に目を輝かせてスマホを手に取った。
「あ、やっぱり漣からLINEだ!お盆休み取れたって!」
「そうなんだ。良かったですね」
本当に嬉しそうな笑顔で言う清水さんに、私までもが嬉しい気持ちになる。
“漣” というのは、清水さんの彼氏だ。
彼氏さんは大阪で働いていて、ふたりは遠距離恋愛中。
お互い営業職で忙しく、特に彼氏さんは土日でも仕事が多くて、ふたりの休みが合うことはなかなかないらしい。
会えるのは数ヶ月に一度くらいで、ほとんど清水さんが大阪でひとり暮らしをしている彼氏のもとへ足を運んでいるという。
「早速旅行の準備しなくちゃ」
ルンルン気分で鼻歌でも歌い出しそうな勢いの清水さんは、完全に恋する女性の顔だ。