白波銀行おひとりさま女子事情

* * *


それは八月も半ばを過ぎた頃のこと。

世間ではお盆休みと言われているけど、お盆休みなんてなかった私は、週末に自室でのんびりと大好きなNeo Moonのライブ映像を観ていた。

(やっぱ涼夜の歌、最高だよ)

なんて浸っていたら、手元に置いてあったスマホが震えた。

画面を確認すると、知花からのLINEメッセージだった。

【お姉ちゃんに相談したいことがあるんだけど、今から来てもらっていい?】

相談したいこと?

わざわざ改まってそんなメッセージを送るなんて、どうしたんだろう?

【わかった。今から支度して行くよ】

戸惑いつつもそう返信をして、私は知花が一人暮らしをしているマンションへ向かった。

三十分ほどで着いてインターフォンを鳴らすと、

「お姉ちゃん、早かったね」

ドアを開けて出迎えてくれた知花が、驚いたようにそう言いながら部屋へ入れてくれた。

「相談したいことってなんなの?」

出してもらった冷たいお茶を飲んで尋ねると、

「……あのね……」

知花は言いづらそうにうつむいた。
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