白波銀行おひとりさま女子事情
「先月から、来なくて……」
「来ない? 誰が?」
「……えっと、だから、人じゃなくて、あれの方……」
“あれ”? 人じゃないあれって、もしかして……。
そう言われて、頭に浮かんだひとつのこと。
「……生理が来てないってこと?」
「………」
私の質問に、沙帆は無言のまま頷いた。
よくドラマや本で見るお決まりの言葉。
ということは、知花はもしかして……。
またしても浮かんできた言葉に衝撃が走る。
「さっき検査薬買ってきて確認したの。そしたら……陽性だった」
「……陽性……」
それはつまり、妊娠しているかもしれない、ということ。
「速水くんは? もう知ってるの?」
動揺しながらもまず気になったことを訊いてみた。
速水くんというのは、知花が高校を卒業してからつきあっている彼氏。
万が一妊娠しているとしたら、父親はもちろん速水くんのはずだ。