白波銀行おひとりさま女子事情

「まだ言ってないの。先にお姉ちゃんに相談しようと思って……」

「病院にもまだ行ってないの?」

「うん」

「じゃあ、今から一緒に行こう」

「いいの?」

「うん、いいよ」

きっと、知花はそれを頼みたくて私に連絡してきたんだと思うから。

それから私達は一番近くにある産婦人科の病院へ向かった。

病院は思っていたほど混んでいなくて、受付をしてから十分もしないで知花は診察室に呼ばれた。

結果は――


* * *


「まさか、知花ちゃんがお母さんになるとはね」

地元の駅前にあるカフェで、親友の海輝がしみじみ呟いた。

海輝とふたりで近況報告を兼ねたひさしぶりの女子会。

時々私の家に遊びに来ていて、知花と面識のある海輝も、今回のことはかなり衝撃的だったようだ。

知花は妊娠二ヶ月と診断され、年内に結婚することになった。

つまり、私は妹に先を越されることになったのだ。
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