白波銀行おひとりさま女子事情
っていうか、いつのまに河野くんから好きな女性のタイプ聞いたの!?
「私、指導員だから、お昼河野くんと一緒に上がったんですよ。その時にさりげなく聞いてみました」
まるで私の心を読んだかのように岬ちゃんが言った。
さすが岬ちゃん、そういうところちゃっかりしてるよね。
そのぬかりなさを仕事でも活かしてほしいよね。
という一言は黙っておこう、うん。
「お先に失礼します」
着替え終えた私は、岬ちゃんにそう声をかけて更衣室を出た。
そのまま駅へ向かいながら、さっきの岬ちゃんの言葉を思い出す。
“しっかりした年上の女性”か。
岬ちゃんの中では、私はそんな風に映っているのだろうか。
もしそうだとしたら、それはそれで悪い気はしない。
ホームに滑り込んできた電車に乗って、一息ついたところでスマホを鞄から出すと、LINEのメッセージが届いていた。
【お疲れ~!法人部の新人くんはどうだった?】
送り主は同期の帆波だ。