白波銀行おひとりさま女子事情
「さとちゃん、ありがとね」
「え?」
「朝からずっと、私のこと心配してくれてたでしょ? なんか情けないよねぇ。仕事に私情は挟まないって社会人の鉄則なのに」
声は明るいトーンのままだけれど、清水さんの視線は注文したカフェラテに向けられていて、うつむいたままで。
「ホント、ダメだなぁ……。漣のことが絡むとこんなにボロボロになるなんて……」
そう続けた声は震えていて、涙を堪えているのがわかった。
「漣さんと、何かあったんですか?」
私の質問に清水さんは言うのを躊躇していたけれど、少しの沈黙の後、意を決したように顔を上げて言った。
「漣、浮気してるかもしれないの」
「――え?でも、つい先月まであんなにラブラブだったのに」
この一ヶ月の間にいったい何があったんだろう。
「この前仕事が休みの日に電話した時にね、知らない女の人の声が聞こえて、誰?って聞いたら職場の後輩って言われたんだけど。なんかそれだけじゃない気がして。もしかしたらって。ただ、それだけなんだけど、不安になっちゃって」