白波銀行おひとりさま女子事情

「おはよう。ホットミルクでいい?」

「うん。ありがとう」

席に着いて焼き立てのトーストを食べる。

「続いて、今日の為替相場です」

テレビから聞こえて来た言葉に反応して、自然とテレビに視線を向けた。

いつの間にか、毎朝こうしてニュースで為替市場や株式市場をチェックするのが日課になっていた。

というのも、私は銀行の窓口担当者として働いているから。

現在の職場は自宅から電車で一時間以上かかる支店で通勤は大変。

異動して三年近く通っている今は、だいぶ慣れたけど。

「行ってきます」

「行ってらっしゃい」

母親に見送られて、駅へ向かう。

満員電車に揺られながら大好きなNeo Moonの曲を聴いて元気をもらい、約一時間十分ほどで職場の最寄り駅に着いた。

改札を出て、歩いて数分のところにあるのが私の職場である美浜台(みはまだい)支店だ。

それほど大きい支店ではないけれど、富裕層が多いことで知られている。

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