白波銀行おひとりさま女子事情
【来てくれてありがとう!頑張ります】
頑張れ、と心の中でもう一度エールを送ってスマホを鞄にしまうと、ちょうど開演時間になったようで、フロア内が暗転した。
拍手が響く中、ステージに現れたバンドのメンバー達。
それぞれが定位置に着いて、演奏のスタンバイを始める。
その中には、少し緊張した表情でキーボードの前に立つ同期の帆波がいる。
そう、今日は同期の帆波が趣味で組んでいるバンドのライブを観に来たんだ。
しかも私が大好きなNeo Moonの楽曲をコピーして演奏するイベントで、他に出演するバンドもみんなNeo Moonの楽曲のみ演奏するライブだ。
演奏が始まった瞬間に感じる体中に響く重低音と会場の熱気。
そしてステージの上では、キーボードを弾き始めた瞬間にキラキラという表現がピッタリの帆波の楽しそうな笑顔と他メンバーの楽しそうな笑顔。
やっぱり人は本当に好きなことをしている瞬間が一番輝いていると思う。
帆波は大学時代からバンドサークルに所属し、キーボードを弾いていた。