白波銀行おひとりさま女子事情

社会人になってから、最初は仕事を覚えるのに必死で時間的にも精神的にもバンドをやる余裕はなかった。

でも、仕事に慣れて来た三年目頃から少し余裕ができて、またバンドを組みたいと思ってSNSの掲示板で知り合った人達とバンドを始めたという。

メンバーもそれぞれ社会人で家庭もあってなかなか練習の時間を取るのは難しいけれど、それでもみんなで集まって練習をして飲み会をするのは本当に楽しいと以前帆波が話してくれた。

ライブはたとえ短い時間であっても、今日このステージのために何ヶ月もメンバーと練習をして音を重ね、本番のステージで全てを出し切る。

それはまるで学生時代の部活動青春みたいで、バンドって生涯青春の象徴みたいだな、とふと思った。

趣味を通じて出会った仲間と、大人になってもこうして無邪気に楽しめる場所がある。それはきっと、とても幸せで素敵なことだ。

「里花、来てくれてありがとう!」

ライブ終了後、無事に本番を終えた帆波が客席フロアの方へ顔を出してくれた。
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