白波銀行おひとりさま女子事情
「お疲れ様。すごく良かったよ~」
「ホント!? ありがとう」
「その衣装もよく似合ってるね」
「ありがとう。ちょっと奮発しちゃった」
照れたように帆波が言った。
黒を基調にした少しゴスロリチックなワンピースは、Neo Moonのメンバーの衣装の雰囲気にも合っている。
「今日のライブすごく盛り上がったね。やっぱバンドっていいよねぇ」
しみじみとつぶやいた帆波の表情は、本当に充実していて楽しそうだ。
「私も観ててすごく楽しかった。また誘ってね」
「うん、もちろん! ぜひまた観に来てね」
「このあとメンバーで打ち上げでしょ? 楽しんでね」
「ありがとう。里花はもう帰る?」
「うん。一人で来てるし、家までちょっと遠いからね」
「そうだね。今日はホントありがとう!また月曜から仕事頑張ろうね」
「うん、じゃあまたね」
少し名残惜しい気持ちを抱えながら、私は出口へと向かった。
外に出るともう真っ暗で、吹いてくる夜風は肌寒い。
だけど、心の中は温かい気持ちでいっぱいだった。