白波銀行おひとりさま女子事情

「お疲れ様。すごく良かったよ~」

「ホント!? ありがとう」

「その衣装もよく似合ってるね」

「ありがとう。ちょっと奮発しちゃった」

照れたように帆波が言った。

黒を基調にした少しゴスロリチックなワンピースは、Neo Moonのメンバーの衣装の雰囲気にも合っている。

「今日のライブすごく盛り上がったね。やっぱバンドっていいよねぇ」

しみじみとつぶやいた帆波の表情は、本当に充実していて楽しそうだ。

「私も観ててすごく楽しかった。また誘ってね」

「うん、もちろん! ぜひまた観に来てね」

「このあとメンバーで打ち上げでしょ? 楽しんでね」

「ありがとう。里花はもう帰る?」

「うん。一人で来てるし、家までちょっと遠いからね」

「そうだね。今日はホントありがとう!また月曜から仕事頑張ろうね」

「うん、じゃあまたね」

少し名残惜しい気持ちを抱えながら、私は出口へと向かった。

外に出るともう真っ暗で、吹いてくる夜風は肌寒い。

だけど、心の中は温かい気持ちでいっぱいだった。
< 53 / 135 >

この作品をシェア

pagetop