白波銀行おひとりさま女子事情
…………って、
「えぇ!?」
静かな車内に私の驚きの声が響き渡り、周りの人達が一瞬こちらに視線を向けた。
慌てて “すみません” の気持を込めて軽く会釈する。
「さとちゃん、驚きすぎ」
「だって結婚するって、漣さんとですよね?」
「もちろん」
「でも浮気してるかもって前に……」
「あれは私の誤解だったの」
「誤解?」
「そう。漣、来年の春に東京に戻ることが決まったんだって。だから、私との結婚を考えてくれて婚約指輪を買おうと思って、去年結婚した職場の後輩に相談してたらしいの」
そっか。その時にタイミング悪く清水さんが電話してしまったんだ。
この前の様子だと、もしかしたら悪い結果になってしまうんじゃないかなって私もすごく心配だったけど、誤解が解けて本当に良かった。
「おめでとうございます!」
異動してからずっとお世話になってきた先輩が結婚するんだ。
羨ましい、というよりは、純粋に私も本当に嬉しい。