白波銀行おひとりさま女子事情
でも今は落ち込んでる場合じゃない。
営業時間内に手続きできなければ、もっと大変なことになる。
急いで電話をして、連絡がついたものの―
「銀行員が口座番号を間違えるなんてありえないだろう。もっとしっかりしてくれないと困るよ!」
「大変申し訳ございませんでした」
課長と一緒にひたすらお詫びの言葉を繰り返し、頭を下げる。
結局、まだお店の近くにいた中山さんが引き返して下さってなんとか訂正印は頂けたものの、かなりお怒りになってしまい、今の状況に至る。
完全に私の確認不足で私が悪いのだから、言い訳のしようがない。
「今度こんなことがあったら、おたくとはもう取引しないからな」
厳しい一言を残し、中山さんはお店をあとにした。
「課長、ありがとうございました。申し訳ありませんでした」
今度はお客様ではなく、課長に頭を下げる。
ミスをするということは、お客様だけじゃなく、上司にも迷惑をかけてしまうということだ。
そのことを改めて感じて、悔しさと情けなさと申し訳なさで涙が溢れそうになる。