白波銀行おひとりさま女子事情

* * *


毎日が飛ぶように過ぎていく中、クリスマスを目前に控えた金曜日。

「それでは、今年もあと十日、みんなで乗り切って行きましょう! 乾杯!」

「乾杯!」

課長の言葉に続いて、みんながグラスを合わせた。

今日は、美浜台支店恒例のクリスマス会兼忘年会。

毎年十二月に行っている飲み会で、今年も忙しい中みんなでなんとか仕事を早く切り上げて集まった。

「山崎さん、お疲れ」

「お疲れ様です」

適当に座った席順で、偶然隣同士になった船堂さんに声をかけられた。

「なんか一年早いよなぁ」

「そうですね」

ついこの前、年が明けたばかりだと思っていたのに、もう今年も終わろうとしている。

「山崎さんはクリスマス予定あるの?」

「え?」

いきなりそんなこと訊かれても困るんですけど。

「ないですよ、予定なんて」

イブもクリスマスも平日だし、どうせ今年も仕事に追われて終わるんだろうな。

「へぇ。じゃあ、俺とデートする?」

「………はい?」

なに?なんでそんな話になるの?
< 67 / 135 >

この作品をシェア

pagetop