白波銀行おひとりさま女子事情

私のことを、お孫さんと同じように温かい目で見て下さっているのがわかるから、もっと勉強して少しでも瀬戸さんのお役に立てたらいいなと思っている。

今日は今保有している投資信託の現状報告と、お孫さんのために貯蓄しているという資産の相談を受ける予定だ。

「おはようございます、本日は朝早くから御来店頂きましてありがとうございます」

九時三十分、約束の時間通りに来店された瀬戸さんに挨拶をすると、「こちらこそいつもありがとう。今日もよろしくね」瀬戸さんはふわりと柔らかく微笑んでそう言ってくれた。

コーヒーを用意して、他愛もない話をしたあと、本題の投信の現状報告と資産相談に移った。

「お孫さんはお二人いらっしゃるんですよね?」

「そうそう。ひとりはあなたと同い年でね。もうひとりはこの春大学に入学するのよ」

「そうなんですか? おめでとうございます」

「ありがとう。でも、私立大学だし、なにかと出費がかさむでしょう? 前からコツコツ貯めてきたお金があるから、使おうかしらと思っているの」
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