白波銀行おひとりさま女子事情

「よしっ! じゃあ、今日は久々にカラオケでもしてパ~っと遊ぼう!!」

私がわざと明るく言うと、海輝はまだぎこちなさの残る笑顔で「うん」と頷いた。

食事を終えて外に出ると、十二月の冷たい風が身に沁みた。

「よ~し! 歌いまくるぞ~!」

カラオケ店の部屋に入るなり、そう言ってどんどん曲を入れて、歌いまくる海輝。

「あ~クリスマスも年末年始もおひとりさまかよ~!!」

お酒も入ってハイテンションになった海輝が、マイクで叫んだ。

「あたしもおひとりさまだよこのやろ~!!」

負けじと私もマイクで叫ぶ。

「え、里花は例の課長といい感じなんじゃないの?」

「ないない、全然ない!」

ドラマや小説なら、岬ちゃんが言っていたようにイケメン上司が異動してきて、いい感じになって甘々な出来事が起こるのかもしれないけど。

生憎、私にはそんな展開全くなかった。
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